主人公のキツネは、
永遠の命が欲しかったわけでは ありません。
年をとったせいで、エサがとれなくなったから・・。ただ、リンゴが欲しかっただけなのです。
意外なことから、永遠の命を手に入れたキツネの物語り。
なにげなく手にとった絵本『キツネとねがいごと』は、自分にとっての「生と死」を真剣に考えさせられるキッカケになりました。
特に、キツネと死神と抱き合うシーンに感涙。ティッシュ箱の準備が必要でした・・。
キツネとねがいごと あらすじ
死ぬことがなければ、ずっとずっと幸せでいられるの?
ある日、年老いたキツネは、わなで捕まえたイタチに、「自分のリンゴの木にのぼったものは、そこにくっついてしまう」という魔法をかけてもらいます。
自分を迎えにきた死神までもその木にくっつけてしまうことで永遠の命を手に入れたキツネは、幸せな日々を過ごします。
でも、やがてキツネのおくさんが死に、友達も子どもも孫もいなくなり……。
命には限りがあり、それゆえに喜びや悲しみ、幸せがあるということを考えさせられる1冊。(文引用:西村書店ホームページ)
だれのための絵本なのか?
生と死をテーマにした絵本は数少ないですが、『100万回いきたねこ』のように、生と死をテーマにした名作も存在します。

『キツネとねがいごと』を読んで感動するのは、キツネと同じように老いを感じている世代です。50代半ばのわたしは、まるでキツネが自分の鏡のような気持ちになって読んでしまいました。
死神をだまして手に入れた永遠の命
キツネは、死神をだまして永遠の命を手に入れました。そして、妻や子どもや孫たちに囲まれて幸せな生活を続けたのですが・・・。
永遠の命を手に入れた結果、
愛する 妻を見送り
愛する 子どもを見送り
愛する 孫たちを見送り
永遠の命のせいで、
- 愛する人がいなくなっても、生き続けなくてはいけません。
- からだがボロボロになっても、生き続けなくてはいけません。
どんなことがあっても、キツネは、
生き続けなくてはいけないのです。
死神を受け入れたキツネの最後
永遠の命があれば、本当に幸せなのでしょうか?
死神は騙されても、怒りもせずその場にいました。優しい笑みを浮かべて・・・。
ラストシーンで、キツネは死神と抱き合います。その時みせた キツネの幸せそうな顔 を、わたしは一生忘れないと思います。
永遠じゃないから価値があるのか?
わたしの両親は、80歳をこえてヨボヨボしながらまだ健在です。愛する妻もいます。みんな、わたしが先にいなくなると悲しむに違いありません。
あなたも同じです。
あなたがいなくなったら、悲しむ人はたくさんいます。
だから、愛する人が元気で生きている間は 精いっぱい生きていこう! じゃないですか。
人間は常に確かなものを探し求めている。しかし、人生において唯一確かなことといえば、わたしたちがいつかは死ぬをいうことである。それならば、この確かさの上に立って人生を眺めてみるのがたすけになるかもしれない。 ジャン・ドメーニコ・ボラージオ(緩和医療専門家) 引用:キツネとねがいごと 扉表紙より
「いつまでも、元気でいてね」の意味だよね?