きみは「かみさま」って つくれるとおもう?
衝撃的な質問から、この絵本が始まります。
絵本『ひかりのりゅう』は、福島原発事故の経験から「人間がコントロールしきれない、科学技術と、どうつきあえばよいか?」という難しい問題を考えさせてくれます。
今わたしたちが忘れてはいけない記憶、未来の子どもたちに伝え残しておくべき絵本です。
作者の小野美由紀さんが、この絵本を書いた想いを語られています→絵本「ひかりのりゅう」発売によせて(2014/12/3)
ひかりのりゅう あらすじ
王様が、ぼくの住む小さな村に遠くの街から見たこともない大きな生き物を連れてきた。その生き物は、なないろの光を吐き出すりゅうだった。その光のおかげで、村はにぎやかになった。村人が神様と祭り上げたりゅうですが、存在をめぐって村人はケンカをしてしまいます。
そして、雷がりゅうの小屋に落ちた時、りゅうが大暴れして・・・。りゅうはほんとに神様なのでしょうか。
(引用:絵本塾出版ホームページ)
ひかりのりゅうは「原発絵本プロジェクト」として映像作品も作られています。
大切なのは悲しみを忘れないこと・・・
2011年(平成23年)3月11日(金曜日)14時46分18秒
東日本を襲った未曽有の大震災は忘れられない記憶となりました。そして、その後に発生した、福島第一原子力発電所事故により、福島県の人々は生まれ育った故郷を離れなければならなくなったのです。
自然災害は予測できなくても、人災は未然に防げるはずなのに、「なぜ、あんなところに原子力発電所を造ったのか・・・」「原発は本当に必要なのか・・・?」
人間はなんども、同じ過ちをおかしてしまいます。
- いつまでたっても、戦争はなくなりません。
- いつまでたっても、公害はなくなりません。
だから、悲しい記憶を後世に残すことが大切なことなのです。
ひかりのりゅう が 流した涙の意味
ひかりのりゅうは人間がつくったいきものでした。
ある日カミナリが落ちたせいで、ひかりのりゅうのおなかから黒い毒が吐きだされ、村人は故郷を離れなければならなくなりました。
でもひかりのりゅうは、黒い毒をまき散らしながら、涙を流していたのです。
「ごめんね ごめんね」
人が造った生きものなのに、壊してしまったのは人間なのに・・・。
福島原発もそんなふうに、人間にあやまっていたのでしょうか?
こんどこそ大丈夫!
2019年に平成は終わります。そして2020年東京オリンピックが開催されます。
日本は変わりつつありますが、原発事故の処理はいまだに続いています。すべての廃炉作業が終了するのは2050年になると試算されています。
福島原発事故により、原発は減少したものの火力発電が主力になり、CO2の排出量が増えてきています。
人間はなんど、同じ間違いを繰り返すのでしょうか?
未来を託されるこどもたちに、この難しい問題を押しつけていいのでしょうか?
絵本『ひかりのりゅう』を通して、東日本大震災と福島原発事故のことを、長くながく後世に伝えられると信じています。