『でも、わたし生きていくわ』の翻訳をしたノンフィクション作家「柳田邦男」さんは、「大人こそ絵本を」という呼びかけを行っています。
柳田さんは、この絵本を翻訳しながら、なんどもなんども涙したそうです。
Contents
『でも、わたし生きていくわ』あらすじ
両親と死別した3人の兄弟は、それぞれ別々の親戚にあずけられることになりました。親戚たちは彼らを暖かく迎えてくれます。両親を亡くした悲しみは消えないけれど、周囲の暖かさに支えられたネリーは、窓の外を見ながら決心します・・・。
作: コレット・ニース=マズール
絵: エステル・メーンス
訳: 柳田邦男
出版社: 文溪堂
少女ネリーの力強く生きていられる秘密とは・・
両親を亡くし、兄弟が別々の親戚の家に預けられたら、わたしなら耐えられないと思います。
なのに、ネリー悲しみを少しも見せず、新しい環境に慣れていきます。時には笑い、大騒ぎし、孤児扱いされたことに怒りをみせて、たくましく生きていく姿に、こどもの適応能力のすごさを感じます。
けれど、こどもたちが悲しみを忘れられたのには、理由があります・・。
親戚の大人たちが素晴らしい・・
ネリーは親戚のおばさんに「あなたは4人目のこどもよ」と言われて、家に向かい入れられます。
だから、絵本の中に描かれている大人たちは、ものすごくいい人たちです。もし、自分が孤児を受け入れる立場になったら、すべきことを絵本の中で教えてくれています。
自分の子も、預かった子も、分け隔てなく自分のこどもとして育てることが、大人の義務です。
それは、わかっているのですが・・・。
ネリーの親戚たちのようにふるまえるか?
もし、わたしが妹のこどもを預かったら、同じことができたでしょうか?自分のこどもと分け隔てなく育てていけるのか?
そのような経験がないので、答えがでません。答えがだせないので、モンモンとしてしまいます。自信がないからだと分かっているから、余計にモンモンとするのでしょうね。
あなたは孤児を受け入れる心の準備はできている?
交通事故、火事、台風、地震・・・。
事故は、身の回でいつ起きてもおかしくありません。あなたの身内で不幸があったら、
残された子どもたちを守ってあげることができますか?
『でも、わたし生きていくわ』は、子どもが力強く生きていく姿を描いていますが、その力強さを「サポートするのが大人の役割なんだよ」と、教えてくれる絵本です。
冒頭で、翻訳をしながら涙した柳田邦男さんの気持ちが、絵本を読み終わってようやく理解できました。
大人のわたしたちが、こどもの未来を背負っているのですね。