こども向けの『まんが日本昔ばなし』というテレビ番組がありましたが、同じストーリーでも、表現方法によって大人の娯楽や鑑賞するものに変わります。
『かぐや姫』はこどもの昔ばなしですが、平安時代に書かれた『竹取物語』が元になっています。わたしは以前、墨絵で描かれた「かぐや姫」の姿絵をみたことがあるのですが、とても素敵で部屋に飾りたいと思ったことがあります。
くもん出版から発刊されている『日本昔ばなしシリーズ』は、版画家金井田英津子さんによって描かれた、大人のための絵本 なんです。
今回は、日本昔話シリーズの2巻目『ねずみのよめいり』を紹介します。
ねずみのよめいり あらすじ
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大事に、大事に育てた娘ねずみが、年頃になりました。
きれいできだてのいい娘です。
世界でいちばんえらいものに、嫁にやりたい親ねずみ。
そこで、次々にえらいものを渡り歩きながら、ついに見つけた最高のお婿さんとは・・・・・・?
(引用:くもん出版ホームページ)
くもん出版 日本昔ばなしシリーズ
注目の版画家、金井田英津子氏による絵が、昔話のシンプルで力強いストーリーを忠実に再現しています。やわらかな鉛筆のタッチが娘を思う親ねずみの心情、次々とえらいものを渡りあるいていく、展開の面白さを表現しています。本を閉じた後に生まれる余韻とともに、昔話の世界の豊かさを味わっていただける一冊です。昔話研究の第一人者・小澤俊夫先生による研ぎ澄まされた文章と、幻想的な版画との融合が独自の世界観を生み出す本格昔話絵本です。(引用:くもん出版ホームページ)
隣の芝生が青く見えるというけれど・・
あなたは、友人が持っている物をみて欲しがったこと、ありませんか?
ラブラブな恋人同士をみて、自分たちより幸せそうだと、羨(うらや)ましがったりしたこと、ありませんか?
昔ばなし『ねずみのよめいり』は、娘のネズミに世界で一番強い結婚相手を探しに行きますが結局、元のさやに戻ったというおはなしです。
隣の芝生は青く見える
と言うけれど、結局は「自分の芝生が一番なのだよ」という教えです。
そういえば、『そらいろのたね』のきつねも、ゆうじくんの飛行機を欲しがっていましたよね。

大人が昔ばなしを読むメリット
大人になると、昔ばなしをバカにしているわけではないのですが、こどもが読むものだと思い込んでしまうようです。
もともと昔ばなしは、こどもと大人が一緒に楽しむ娯楽だったのですが、娯楽が多くなったせいで、こどもと大人の娯楽が別になり、大人は絵本を読まなくなりました。
だからなのでしょうか・・
大人より、こどものほうが正しいことを言っていると感じるようになったのは・・?!
- 悪いことをしたら あやまりなさい
- 人のものを 盗んではいけません
- 人に やさしくしなさい
嘘つきになった大人はもう一度、正しいことを学ぶ必要がありますよね。
鉛筆画と版画で楽しむ大人向けの絵本
迷ったり・悩んだり・苦しんだり。そんなとき、絵本はきっと、あなたに解決策を教えてくれます。
版画家金井田英津子氏が描いた絵は、幻想的で迫力があり、あなたの絵本のイメージを壊してくれます。いい意味で。
鉛筆画では、木目や影が、それは細かくやわらかく描かれています。
江戸時代のころでしょうか。日本らしい風景がページいっぱいに広がっています。
鉛筆画のあいだにある版画では、お日さまや風の様子が力強く表現されています。とくにお日さまの顔は、彫りが深く印象的です。
日本らしい鉛筆画と比べると、版画はどことなく西洋風に感じました。この雰囲気の違いがなんとも絶妙です。
思わずページをめくる手を止めて、絵をじっくりとながめてしまいます。全体的に色が少なく、渋味がある絵本です。
だからこそ渋味のわかる、大人に読んでもらいたい本です。
あなたも、もういちど
絵本を読み始めてみませんか?
自由人!
