生きていると、出会いと別れは何度も何度も経験します。
転校で、仲のよかったお友達と別れるときの悲しみは、今でも忘れられない思い出です。なんだかとっても悲しかったのを覚えています。でもそのあとに、新しい学校で、新しい出会いがあって、新しい友達ができるんですけど・・。
あなたはこどものころ、はじめて「別れる」経験をした時のこと 覚えていますか?
テスの木 あらすじ
テスは6歳の女の子。庭にある大きな木は175歳。テスはその木が大好きで、いつも木といっしょに遊び、木陰で休み、木に語りかけていました。木もテスの成長を見守っていました。
けれど、ある日、嵐がきて、木が折れてしまい…。そして、放っておいたら危険ということで、切りたおされることになってしまったのです。
大事な友人の喪失に耐えられないテスは、荒れ狂う感情をおさえられません。最後の最後に友人のためになにかできないかと考え、お葬式をすることを思いつき……。
幼い子が、だいじな友人の喪失にきちんと向き合い、それを乗り越えていく姿が、せつなく、そして愛らしく描かれた珠玉の絵本。(文引用:主婦の友社)
作: ジェス・M・ブロウヤー 絵: ピーター・レイノルズ 訳: なかがわ ちひろ
6歳のこどもがはじめて経験した別れ
テスは毎日、大きな木と一緒に育ちました。物心がついたころには、大きな木がそばにいて、ブランコしたり木の絵を描いてみたり、窓から眺めてみたり・・。テスとテスの木は、いつも一緒でした。
でもある嵐がやってきた日、テスの木はボロボロになってしまっったのです。ついに、テスの木は、切り倒されることになってしまいます。テスが経験する初めての「別れ」です。
はじめて経験する「別れ」は、大人のわたしたちが想像するよりツライはずです。昨日まであたり前にいたものが、消えてしまうわけですから、ワンワン泣きなくなる気持ちになっても当然です。
大人でも、大切なものをなくしてしまうと、喪失感でしばらく何にもしたくなりますよね。
小さなこどもの喪失感は、大人になったわたしには、もう想像できないのかもしれません。
「おそうしき」は悲しみを救う魔法の儀式?
お友達の木のためにテスは自分ができることを考えました。そして、大きな木のために「おそうしき」をすることにしました。
こどもって、どこから「おそうしき」というものを知るのか不思議なのですが、わたしも飼っていたひよこが亡くなったとき、お墓をつくってあげたことがあります。どこで覚えたのやら・・・?
別れはさみしいものなのですが、「おそうしき」をすると少しはさみしい気持ちが楽になります。おそうしきは、生き物だけじゃなく人形などの物でも同じです。
いままでありがとう
そういう感謝の気持ちを込めて、自分の悲しみやさみしさを、少しでも和らげたいと思う本能なのかもしれません。本能だから、こどもは教えなくても「おそうしき」を覚えるんじゃないでしょうか。
その証拠に、おそうしきが終わったあと、こどもは新しいことに興味を持ち始めます。
悲しくてもさみしくても前を向いて歩いていこう!
生きていると、いろんな悲しいことや、さみしいことが起こります。でもね、悲しみやさみしさを乗り越えて、前を向いて歩いていこう!
絵本『テスの木』は、6歳の女の子が悲しみとさみしさを乗り越える姿を描きながら、
乗り越える勇気を与えてくれる絵本です。