あなたは自分の話を信じてもらえなかったことってありますか?
わたしはサッカーが下手すぎて、「遊んでないでちゃんと守備して!」と怒られたことがあります。本人は必死にパスを出したりしていたのですが、下手すぎてサッカーではなく玉乗りをしていると思われたようです。
相手に信じてもらえなかったのはちょっとさびしいですね。
『いつもちこくのおとこのこ』では、遅刻した理由をウソだと思われ信じてもらえない男の子が主人公です。
印象に残りやすい長い名前の男の子
主人公の名前は、「ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー」といいます。
フルネームで何度も登場するので、読み終わったころには「ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー」とスラスラいえるようになりました。
ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーではかなり長いので、ここでは「男の子」と呼ぶようにします。

先生がウソだと思ってしまうのもちょっとわかるくらい、男の子の遅刻の理由は突拍子もないものでした。
男の子は毎日勉強しに行くために出かけていきます。ところが、行く先で必ず男の子は災難に巻き込まれて、遅刻してしまいます。
この災難の度合いがかなりひどい。
ここまでいくと、男の子は運が悪すぎるのでは・・と思わずにいられません。災難に巻き込まれながらも何とか目的地に到着しますが、遅刻なので先生に怒られてしまいます。
男の子は自分が遅刻した理由を説明しますが、先生にちっとも信じてもらえません。
結局、ウソをついたことと、遅刻をしたことについての厳しい罰を受けることになります。
男の子が書いた反省文は見返しで見ることができるので、読み終わったらチェックしてみるといいかもしれません。細部まで凝っている絵本でした。
モンスターみたいな先生
自分にとって「あり得ないこと」って、ついウソだと思ってしまうこと、ありませんか?
男の子の遅刻の理由は、先生にとって「あり得ないこと」だったのです。先生は男の子をウソつきだとみなし、信じようとしません。
ところが、男の子の様子を見ているわたしたち読者は、男の子の発言はウソではないと知っています。
毎日毎日とんでもない災難に巻き込まれても、あきらめずに勉強しに向かう男の子は、かなり辛抱強い子だと思いました。わたしなら途中で帰りたくなります。
一方、描かれている先生は 大きな体に大きな口、真っ黒な背広 を着ています。小さな男の子との対比もあって、まるでモンスターみたいな雰囲気がありました。先生は、毎日遅刻する男の子にどんどん重い罰を与えるようになりました。
二人のやり取りを見ていると、子どもにとって信じてくれない大人はこんなふうに見えるのだろうかと、ふと思いました。
大人も昔は子どもだったので「なんで大人は信じてくれないんだ」と思ったことがあるはずなのに、自分が大人になると自分の物差しでしか判断できなくなります。
『いつもちこくのおとこのこ』の先生みたいな大人だと、子どもに思われるような行動はしたくないなと読んでいて思いました。
ウソだと決めてかかると困るのは自分なのかもしれない
自分にとってあり得ないことだとウソだと思いがちですが、それは自分が困るだけかもしれません。「この人にいってもどうせウソだと思うんだろう」と相手に思われるのって、かなり悲しくないですか?
『いつもちこくのおとこのこ』の先生が、ウソだと決めつけた人の末路を教えてくれます
いつもちこくのおとこのこ―ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー (あかねせかいの本)
